スイッチングハブは、複数の端末の転送を同時に実行できるため、データ転送が高速になります。
サーバ1(sv01)とサーバ2(sv02)と端末1(pc01)、端末2(pc02)の4台のマシンがあった場合、pc01からsv01へ、FTPなどでアクセスしている場合でも、pc02からsv02を使ってインターネットへアクセスできます。
そのため、全体として、スイッチングハブの転送速度は、高速になります。
+---+---+ +-------+ | sv01 | | sv02 | +---+---+ +---+---+ | | +---+----------+---+ | | | | スイッチングハブ | | | | (内部には、2つのネットワークが存在) +---+----------+---+ | | +---+---+ +---+---+ | pc01 | | pc02 | +-------+ +-------+ |
イーサネットの仕様では、CSMA/CD方式による転送を行うことになっています。
CSMA/CD方式では、ネットワーク上にデータを送信できる権利を持つ端末は、同時に1台となっています。
ですから、同時に複数の端末が送信すると、データの衝突(コリジョン)が発生します。
しかし、スイッチングハブは、帯域を分割して使うため、内部的には複数のネットワークが存在しています。
ですから、データの衝突は発生しにくくなっています。
ただ、実際には、時分割してデータ転送しているため、ハブを使っていても、見かけ上は同時にアクセスしているように見えます。
通常のハブは、リピータとして動作します。 リピータは、送信されたデータをそのまま中継します。 そのため、ネットワークのデータ量が多くなってしまいます。
これに対して、スイッチングハブは、ブリッジとして動作します。 ブリッジとは、送信されたデータのMACアドレスを解析し、送信先のネットワークにしかデータを送信しません。 そのため、ネットワークのトラフィックを減少させることができます。
+---+---+ +-------+ | gw01 | | sv01 | +---+---+ +---+---+ | | ○ gw01からsv01へのアクセス +---+----------+---+ |スイッチングハブ01| +--------+---------+ | × スイッチングハブ02には転送しない +--------+---------+ |スイッチングハブ02| トラフィックの減少 +---+----------+---+ | | +---+---+ +---+---+ | pc01 | | pc02 | +-------+ +-------+ |
ハブとハブは、カスケード接続によって、ポート数を増やすことができます。
しかし、ハブはデータの遅延が発生するため、カスケード接続台数には制限があります。
10-BASEハブでは、3段まで、100-BASEハブでは2段までです。
任意の端末間に、この段数を超えるハブを設置すると、ネットワーク全体が繋がらなくなることがあります。
ところが、スイッチングハブは、カスケード接続台数に制限がありません。
これは、リピータでは、若干のデータの遅延が発生してしまうからです。 スイッチングハブでは、別のネットワークとなるため、同一ネットワーク内のデータの遅延は発生しません。
+------+ +--------+ +--------+ +------+ | pc01 |----| HUB01 |----| HUB02 |----| pc02 | +------+ +--------+ +--------+ +------+ 2段のカスケード接続(100BASEハブの場合) +------+ +--------+ +--------+ +--------+ +--------+ +--------+ +------+ | pc01 |----|SW-HUB01|----|SW-HUB02|----|SW-HUB03|----|SW-HUB04|----|SW-HUB05|----| pc02 | +------+ +--------+ +--------+ +--------+ +--------+ +--------+ +------+ 多段のカスケード接続(スイッチングハブの場合) |
スイッチングハブでは、転送先を最適化するため、IPアドレスとMACアドレスを自動的に学習します。
そのため、端末の接続位置を変更したり、ネットワークカードを交換したりした場合に、通信できなくなることがあります。
このような場合は、端末の再起動だけではなく、スイッチングハブの再起動も必要となります。
スイッチングハブを有効に利用するためには、頻繁にアクセスがある経路を2重化しておく必要があります。
以下のようなネットワーク構成では、pcからインターネットへは、gwf1を経由し、インターネットからsv01やsv02へのアクセスは、gwd1やgwd2を利用することで、負荷分散をすることができます。
すべてのアクセスがゲートウェイに集中するような、小規模なLANでは、通常のハブで十分です。
+-----------------------+ | インターネット | +---+---------------+---+ | | +---+---+ +---+---+ |ルータf| |ルータd| ルータ +---+---+ +---+---+ | | | +--------+---------+ | | ハブ01 | | +---+----------+---+ | | | +---+---+ +---+---+ +---+---+ +-------+ +-------+ | gwf1 | | gwd1 | | gwd2 | | sv01 | | sv02 | サーバ +---+---+ +---+---+ +---+---+ +---+---+ +---+---+ | | | | | | +---+----------+----------+----------+---+ | | スイッチングハブ01 | | +-------------------+--------------------+ | | +---+--------------------------+--------------------+ | スイッチングハブ02 | +---+----------+----------+----------+----------+---+ | | | | | +---+---+ +---+---+ +---+---+ +---+---+ +---+---+ | pc01 | | pc02 | | pc03 | | pc04 | | pc05 | クライアント +-------+ +-------+ +-------+ +-------+ +-------+ |
この例では、以下の通信が同時に実行することができます。