ここでは、SOHO環境や同好会などの小規模な組織で、
小規模サーバを開設するときの構築例を提示します。
この後の解説は、基本的にこの環境設定で語られています。
このサーバで、我々が実現したい機能を、まずピックアップしました。
これら以外にも、ダイヤルアップ環境も欲しいところですが、
サーバの設定以外にも、新規回線、モデム、TAなどが別途必要なため、ここでは見送ることにしました。
今後の課題の1つとして、後にコンテンツ化する予定です。
ハードウェア | |
---|---|
インターネット専用線 | ocnやodnといった、接続サービス |
サーバマシン | 各種サーバを動かすためのマシン |
ルータ | 専用線とサーバをつなぐもの |
LANケーブル・ハブなど | ルータ=サーバ間や、クライアントマシンを結ぶネットワーク構成部品 |
ソフトウェア | |
サーバ用OS | UNIXやWindowsNTサーバ |
各種ソフト | 上記のOSで稼動するwwwサーバや、メール環境の構成システムなど |
その他 | |
ドメイン | “ash.jp”などの、インターネットドメイン |
次に、より具体的な決定に移ります。
ここで、システム選択時の基本的なコンセプトは、
1、安定運用
2、安価
の2点です。
まずは、専用線である。これがなくては始まりません。
現在はOCN(NTT)、ODN(日本テレコム)、DION(DDI)、などの専用線サービスが存在しています。
それぞれが独自のサービスを行っており、どれがいいとは一概には言えませんが、
ここは、最古参であり、シェアも大きいNTTのOCNを使うことにしましょう。
OCNにも様々なランクがありますが、そのなかのOCNエコノミーを選択。
小規模なサーバー運用なら128kで十分すぎるくらいですし、それ以上となると、価格的にも跳ね上がってしまうからです。
プロバイダ業務をするわけではないのですから、OCNエコノミーで十分でしょう。
接続サービス種類 | 回線速度 | 月額基本料金(円) |
OCNエコノミー | 128kbps | 38,000 |
ODNエコノミー | 128kbps〜 | 26,000〜 |
DIONスタンダード | 128kbps | 32,900 | OCNスタンダード | 1.5Mbps | 350,000 |
なお、価格については1998年10月13日現在のものを元に記載してあります。
サーバマシンは、選択の幅がもっとも広い部分となります。
それこそ、家でホコリをかぶっている486マシンという選択肢から、
1台数百万円もするワークステーションという選択肢まであります。
1体型のサーバーマシンを導入すれば、OSや各種ソフトもインストール済みですが、安くても50万円以上と、非常に値段が高くなります。
そこで、通常のPCを、サーバーマシンとすることにしました。
これならば、OSのインストールなどを自分で行わねばならず。手間は増えることになりますが、コストは大幅に削減できます。
ただし、OSとの兼ね合いもあるので、具体的なマシン選択は、OSの選択後にします。
値段も手ごろで機能も十分なのでMN128を選択。
クライアントマシンの数などに合わせて、適宜購入。
最も悩むところがこのOSの選択でしょう。
PCをサーバにする以上、選択肢は大きく分けて
・LINUXやFreeBSDを代表とするPC−UNIX
・WindowsNT
の2つとなります。
両者ともに、メリット、デメリットがあるので、
それを表にしてみました。
PC UNIX | WindowsNT | |
---|---|---|
値段 | ただ
基本的にフリーソフト |
約16万円
WindowsNT4.0 CD−ROM版 |
インターフェイス | テキストベース
GUIにすることもできるが・・・ |
GUI
いわゆるWindowsな操作系で使いやすい |
管理者の必要スキル | 高い
ある程度以上のUNIXの知識が必要 |
高くない
GUIで操作するだけで、動作させることが(一応は)可能 |
ユーザーサポート | 基本的になし
ただしユーザー同士の相互扶助的システムは非常に発達している |
あり
天下のマイクロソフト様のサポートが受けられることになっている |
関連ソフトの値段 | 基本的にただ
サーバソフトなども、基本的にフリーソフトでそろう |
安くはない
例えば、Exchange Server 5.0で、だいたい22万円 |
要求マシンスペック | 高くない
486マシン程度でも、十分快適に使用できる |
低くない
NT4.0でも、最低Pentiumクラスがないとまともに動かない NT5.0では・・・・・・ |
サーバの遠隔操作 | 可能
UNIXは、もともとそういうモノである |
基本的に不可能
別ソフトをインストールすれば可能だが、 GUIなため、ネットワークの負担は大きい |
安定性 | 高い
よほどのことがないかぎりOSが落ちるようなことはない |
低いというわけではない
何かあった場合、NT自身が落ちてしまうことが多い |
これらを考慮したうえで、やはり、安定性と値段の安さで、
PC−UNIXのLINUXを選ぶことにしました。
FreeBSDよりもLINUXを選んだのは、
LINUXの方が一般的で情報やソフトが多いとの判断からです。
FreeBSDには、NECのPC−98シリーズでも動くという特徴もあります。
PC−UNIXは486クラスのマシンでも十分動作するので、
ちょっと昔のPC−98が余っているなどという場合は、FreeBSDを選択するのもよい手でしょう。
さて、先送りにしてきたマシン選択の続きです。
LINUXを選択した段階で。マシンは互換機に確定(LINUXは基本的に互換機でしか動作しない)
PC−UNIXの利点として、マシンパワーをあまり要求しないことがあげられるので、
ほどほどのランクで1台組み上げることにしました。
なお、LINUXをインストールするマシンを組むにあたって、注意することは、
・この用途で使うのであればメモリは32Mで十分であること
16Mでも動作は可能である
・ハードディスクは最低でも500M、できれば1G以上は欲しい
余裕があるにこしたことはないが、あまり大きなHDは必要ないだろう。
・LINUXでも動作するLANカードを購入すること。
PCIはほぼOKだが、ISAには使えないものが多い、
・グラフィックボードには大した性能はいらないこと。
LINUXは、GUIではないので、テキストが表示できれば十分なのである。
などです。
LANカードなどについては、マシンショップに相談するのがよいでしょう。
OSはLINUXに決定したので、次は各種ソフトを選択。
wwwサーバは、apacheを選ぶことにしました。
やはり一般的で、機能も十分。しかもタダです。
UNIXには、基本的にメールシステムが備わっていますが、
古いバージョンではセキュリティ上危険らしいので、
ここは、sendmailの新しいバージョンを入れることにします。
sendmailのセキュリティホールは、危険度が非常に高いので、
sendmail 8.8.8 以上は必須です
具体的な方法は別項目で述べることになりますが、
日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)
http://www.nic.ad.jp/index-j.html
が日本のドメインを管理しているので、ここに登録することになります
最終的に、このように決定しました。
インターネット専用線 | OCNエコノミー |
サーバマシン | PC/AT互換機 |
ルータ | MN−128 SOHO |
サーバOS | LINUX |
wwwサーバ | apache |
ドメイン | 後述 |