とりあえず、主人が到着したことを二人の小妖精に伝えといてやろう。
スピットファイア「てやんでぃ! タウラなんかなぁ……(=。=)」
ソードフィッシュ「ぐー。(zzz−。−)」
……これだものなあ……
寝ているソードフィッシュはとりあえず置いといて、スピットファイアに声をかける。
スピットファイア「あー? タウラが来たあぁ? んじゃちょっと、ここ連れてこいや、ここぉ!」
……完全に出来上がってやがる……<(−−;)
ドリ「なんじゃあ、スピット。威勢がいいのぉ」
……タウラとドリが酒場に入ってきていた。タウラは軽いローブに着替えてきている。
あの巨大な剣も置いてきたようだ。……まあ、当然か……
スピットファイア「え……? タウラ様……」
タウラ「…………」
タウラは相変わらず無言だ。その分、恐ろしいほどのプレッシャーを周囲に与えている。
スピットファイアも、一気に酔いが醒めたようだ。
タウラがテーブルにつく。一つ置いて隣の椅子にドリ。スピットファイアは気の毒なくらい縮こまって、タウラの背後に浮かんでいる。極力主人の顔を見ずにすむ位置。
こんこん。
タウラの指が、テーブルを叩く。力を込めたとも見えなかったが、酒場に響きわたる音がした。
「はいはい、おっまたせぇ!」
ルネッサが特大ジョッキを二つ抱えて持ってきた。ドリが受け取って、早速口を付ける。
こんこんこん。
もう一度タウラ。
「……ふにょ?」
ハチミツいりのカップを抱きしめながらすやすやと眠っていたソードフィッシュが、その音に目を覚ました。
きょろ。きょろ。緩慢な動作で辺りを見回す。二回素通りした後、彼女の視線はようやくタウラを認識したようだ。
くいくい。
タウラは、人差し指を曲げ伸ばしした。
ソードフィッシュは、名残惜しそうにハチミツを眺め、タウラを見た。数回繰り返す。
くいくいくい。
タウラの指が、少しペースを早めた。
ふよふよふよ。しょうことなしに、ソードフィッシュはタウラの方へ移動をはじめる。遅い。
ぴと。
ソードフィッシュがタウラの頭に張り付いた。
「ふぅ……。ようやっとしゃべれるわ」
おや……? 今喋ったのって……ソードフィッシュじゃないか?
「挨拶が遅れて申し訳ないのう。わらわはタウレタリ。タウラと呼ばれている者じゃ」
やっぱり喋ってるのはソードフィッシュだ……
「タウラ、いきなりソレでは新入りも驚くじゃろう。すまんのう。タウラは口べたでな、ソードを通さんと他人と話ができんのじゃ」
ドリがフォローを入れる。
……口べたって……そーゆー問題なんだろうか……
「スピット、ぬしも縮こまってないで、酒の一つでも飲むがよいぞ。ルネッサに何ぞ見繕ってもらって……」
「あ、タウラ様……本当に結構ですって……」
うーむ、横から見てると、腹話術士の大道芸のようだ……
ドリ「ところで、何でワシは画面に映らんのだ?」