「つーん」
スピットファイアはご機嫌斜めだ。
まあ、小妖精が飛行中に衝突事故なんて、恥ずかしいところを見られたら……
「そこ! ぶちぶちうっさいわね!!」
君は、肩をすくめた。
しかし、うっとうしいことこの上ない。
わざわざ、君の視界にはいる位置のテーブルに陣取って、ふくれっ面を見せるのだ。
他に客もいないので、恨めしげな視線が痛いこと痛いこと。
君がテーブルを移ると、スピットファイアも動く。
……しばらく、この静かな攻防が繰り返された後……
「ルネッサ、はちみつ。小妖精サイズで二杯」
君は根負けした……
ソードフィッシュ「きゃ〜ん♪ (^ー、^)」
飛びつくソードフィッシュ。
スピットファイアは、警戒するように、ちろちろと君の顔と蜂蜜入りのカップを見比べる。
知らんふりをする君。
スピットファイアはじりじりとカップの方へ移動し……
スピットファイア「てやんでぃ、やってられっかぁ、バーロー!!」
一体、あのカップには何が入っていたんだ? 小妖精は、蜂蜜で酔う特性があるのか?
ルネッサ「……ハチミツ酒じゃ、いけなかったかしら?」
……それは、いけないだろう(−−;)
ルネッサ「だって、ここ酒場だもん」
すねたふりをするルネッサ。
スピットファイア「オラそこぉ!! あたいを無視して話してんじゃねー!!」
……いわゆるパーフェクトな酔っぱらいモードに突入している。
テーブルの上にどっかとあぐら。ミニスカートだと、中見えるぞ……などという殊勝な忠告に耳もかさない。
スピットファイア「大体だなぁ、あたいはこの名前気にいんねーんだよぉ。すぴっとふぁいあだあ? 人をなめてんじゃねーぞ、タウラを出せ、タウラぁ!!」
タウラとは、彼女たちの主人である森精の名前らしい。どうやら、そのタウラという森精が彼女らの名付け主でもあり、しかも、スピットファイアは自分の名を気に入っていないらしいが……
自分で改名すればいいんじゃないか? そんなにイヤなら……
スピットファイア「オラ、そこのぉ! 人にばっか飲ませてないで、お前も飲めぇ!!」
はいはい……
結局君は、オヤジ化した小妖精に、たっぷり一晩つきあわされた……