そう、晶に贈るプレゼントはくまの剥製だ。
……何で僕はこんな物を選んだんだ?
何者かの作為を感じたが、今更どうしようもない。
ちなみにくまの種類はヒグマだ。
これはきっと………………(考え中)………………、そう!
南の長崎に住む晶に、北の北海道の香りを少しでも楽しんでもらおうという考えに違いない。
…多分…。

Present


今日の待ち合わせは中華街。
僕の傍らにある荷物は、その大きさや形が包みの上からでも十分わかるものだった。
中華街に足を運んだ人は何かの見世物かと足を止めてそれを見ている。
晶の姿はまだない…。
まだ来ていないのか、それともこの状況を見て近付きたくないのか。
そう考えている時、人込みの中に晶の姿をみつけた。
どうやら後者だったらしい。
いつまでもこの状況のままでいるわけにもいかないので、声をかけることにした。

「おーい、晶ー!」

手を振って呼びかけると、晶は取り合えず知らない人のフリをした…。
そりゃないよ晶…、気持ちは分からなくも無いけど…。
しかし、ここで止めるわけにもいかない。
僕は何度も呼び続けた。
それに観念したのだろうか、晶は人込みの中から出てきた。
さっそく用事を済ませなければ…。


「あ、晶。メリークリスマス」

「…」


「今日はプレゼントを持ってきたんだ。何だと思う?」

「……」


「長崎育ちの晶じゃあ、なかなか目にできないものだよ」

「………」


「ジャーン!何と!くまの剥製!」

「…………」


「な、なかなか、ぷりちーでしょ?」

「……………」


「くまって怖いイメージが先に立つけど、こうやって見るとなかなか愛敬があるよね」

「………………」


「…………………」

「…………………」


「…な、何か言ってくれないかな…」

「……………………」




「馬鹿?」

…………………はうっ。

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