ゴキブリは地球上で最も不快な生き物だ!と言われるほど人間に嫌われている昆虫です。
ここに来る人の中でもゴキブリが好き、という人はおそらくいないのではないでしょうか?
ゴキブリは節足動物門、昆虫綱、ゴキブリ目の属します。
現在の所は4000種類近くが知られていますが、まだまだ知られていない種類がいるようです。
この中で一般にゴキブリと言うと皆様が思いだす、台所をなどを住処にしているのは50種類ほど・・・
しかも、人家で害虫としてよく見られるのはわずかに10種類ほどなのです。
大部分のゴキブリの仲間は熱帯や温帯の森の中でひっそりと暮らしています。
ゴキブリが嫌われている理由としては、下水や生ゴミの上などを這い回った足で
あちこちを歩き回るので不潔、素早く不気味な歩き方が嫌い、などが上げられます。
日本だとゴキブリの害と言ったらこんなものですが、外国ではもっと酷い害があります。
ゴキブリが人間の耳の中に入り込む、人間が寝ている時にゴキブリが睫や指先、爪などを噛る、などです。
それに、ゴキブリアレルギーで悩まされる人も多くいます。
また、ゴキブリは実にいろいろな物を食べるため、その害も無視出来ません。
人間の食べ物は全て食べますし、それ以外にも、美術品の絵の具、書物などの紙やそれを張合せている糊、
煙草や家の建築材料、飛行機の器材の中にすら食べる物があるそうですし、共食いも行ないます。
それと同時に、ゴキブリは絶食に対する、強さも知られています。
ゴキブリは食べる物がなくても水だけで、1月以上生きていますし、
餌だけではなく、水さえなくても2〜3週間は生きられるそうです。
次はゴキブリの生態について見ていきましょう。
ほどんどのゴキブリは産卵の時は卵鞘と呼ばれる、容器を作って、その中に卵を産みます。
卵鞘の数は種類によってまちまちで、1〜20個ほど・・・
1つの卵鞘の中の卵の数も種類によって大きく異なり、16〜44個です。
一部のゴキブリは胎生で卵を産まずに、ゴキブリの子供を直接産みます。
ゴキブリの卵鞘の扱は種類によって異なります。
ワモンゴキブリなどは卵鞘を安全な場所に放置しておくだけですが、
多くの種類では、親が卵鞘を持ち歩いて、孵化の3時間ほど前になるとようやく切り離します。
野性のゴキブリの仲間には子供の世話をやくものも多くいます。
ゴキブリの幼虫は卵鞘の中で成長し、15〜90日程で、ある程度大きくなると、
卵鞘の中でどんどん空気を吸い込み風船のように身体を膨らませます。
やがて、卵鞘は幼虫の膨らむ圧力に耐え切れなくなり、破れてしまいます。
こうして誕生したゴキブリは2〜3分もすると空気を吐き出して半分位の大きさに縮んで、
身体の表面が固くなり、翅がない、小さなゴキブリとなります。
この赤ん坊ゴキブリも親と同じく実にいろいろな物を食べて成長します。
昆虫は成長するときは必ず脱皮を行ないます。これはゴキブリも例外ではありません。
昆虫の表皮、外骨格は固いために、そのままだと全く成長出来ないからです。
ゴキブリは種類によって、5〜11回ほどの脱皮を繰り返して成虫になります。
ゴキブリは空気をどんどん吸い込んで、身体を膨らませる事で外骨格を破って脱皮を行ないます。
この脱皮したてのゴキブリは青白く、皺が寄った薄い皮のグロデスクな姿をしています。
しかし、この状態はそれほど長くはなく、すぐに変化を始めます。
更に空気を吸い込む事で皮を膨らませていき、あっという間に皮が伸びて皺がなくなります。
あとは皮が乾燥して、固くなり、色も黒っぽくなっていきます。
ゴキブリの生育期間も種類によって大きく異なり、2ヵ月から2年ほどです。
次にゴキブリの生活について見てみましょう。
家住性のゴキブリの仲間の生活は非常に単純です。
暮れの3時間程と明け方の1時間ほどの間に餌を探して、人家や下水道を徘徊し、
それ以外の時間は狭くじめじめしたすき間に潜り込んで、
休息や触角などの感覚期間の掃除を行なっています。
一般にゴキブリと言えば、この仲間を指すでしょう。
ワモンゴキブリ、チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、トウヨウゴキブリ、
チャオビゴキブリなどがこの仲間です。
この中で、クロゴキブリは暖かい時は外でも生活を行ない、
寒くなると暖かい人家へどんどん侵入するので、
人家のクロゴキブリをいくら駆除してもいなくならないという、非常に困った種です。
他に土中性のゴキブリの仲間もいます。
自分でモグラのように穴を掘って土中の生き物や落ち葉などを食べて生活している種類には
非常に大型のものがいます。
体長が8センチ、重さが35グラムなどです。
しかし、これらのゴキブリは家住性のゴキブリとは全くかけ離れた姿をしており、
多分、始めて見る人はゴキブリだとは判らないのではないでしょうか・・・
翅がなく、外骨格は非常に固くてまるでかぶと虫のようです。
また、この仲間にはよく幼虫の世話をするものが多く、外敵に襲われたときに、
成虫が自分の固い身体で幼虫を多い隠して守る事が知られています。
この仲間には非常に小さなものもいます。
蟻の巣に住み着いて、蟻からバクテリアを分けてもらい、
そのお礼に蟻の巣の掃除を行なっているものがいます。
これらは体長が2ミリほどで、蟻の身体に乗って、他の巣穴に移動したりしています。
また生態をほとんど知られていませんが、樹上生活を行なう仲間もいます。
なにしろ地上から60メートル以上の熱帯雨林の樹上などに住んでいるために調査が非常に難しいのです。
他にも洞窟に住み着いている仲間もいます。
熱帯雨林の洞窟は湿度は高く、餌も十分にあるのでゴキブリにとって理想的な生活環境です。
そこで、普通のゴキブリも沢山住んでいますが、それらとは別に完全に洞窟に適応した仲間もいます。
これらのゴキブリは色白で目がなく触覚や嗅覚が非常に発達しているそうです。
ゴキブリは非常に生命力が強いと言われています。
絶食や水不足に対する耐性は前にも書いた通り非常に優れています。
また再生能力にも優れており、足や触覚などが取れてしまっても、再生する事が出来ます。
またゴキブリには脳が頭と腹部に2つ存在しており
(脊椎動物の脳ほど発達していません。脳というよりは神経の塊、と言った方が正しいかもしれません。)
頭部が破損しても生きていく事が出来ます。
もし、頭を切り取ったとしても出血さえ止まれば、そのまま活動を続ける事が出来るのです。
最も頭がなければ餌を食べる事が出来ないので、やがては餓死してしまいますが・・・
また、ゴキブリは放射能に対しても非常に強く、
人間の致死量の16倍もの放射能を受けても生き抜く事が出来るそうです。
また、毒餌に対してはゴキブリは味覚が鋭く異常を感じると吐き出してしまうため、
味が判らない毒を用いなければ意味がありません。
更にゴキブリは味の好みがころころと変るため、毒餌の味もまめに変えてやる必要があります。
そこまでやったとしても、薬品に対する耐性の取得が早く、すぐに効かなくなる事が多いのですが・・・
次にゴキブリが自然界で果たす役割について見ていきましょう。
ゴキブリは一番の役割は生物の死骸などを食べてなくす事で、つまり森の掃除屋さんという事になります。
他の虫などを食べて食物連鎖の1関を担っています。
ゴキブリは非常にいろいろな者を食べますし、そのエネルギーへの変換効率が非常に高いのです。
ゴキブリの栄養分は他の生物と比較すると非常に大きいそうです。
そのためにゴキブリを食べる生き物が沢山います。
また、花粉の媒介を行なっている種類もいます。
もっとも人家に住み着いているゴキブリが何の役目を担っているか?
と質問されたら困りますけどね・・・
最後にゴキブリ退治の方法について見てみましょう。
ゴキブリ退治の方法として一番よく使われているのは殺虫剤で次が毒餌でしょう。
これらの方法は速攻性ですが、ゴキブリが耐性を取得してしまったり、
外部から別のゴキブリがやって来るため、なかなかゴキブリを全滅させるにはいたりません・・・
そして、薬を使ってからしばらくすると、またゴキブリが増えてしまう事がよくあります。
他にはゴキブリの天敵を飼育する方法があります。
ゴキブリを専門に襲う寄生蜂やハリネズミ、ヤモリ、猫などがそうです。
ただし、これらの生き物は常にゴキブリを狙うとは限りません。
お腹が一杯になってしまえば、それ以上ゴキブリを襲わない可能性が高いのです。
もっとも猫は餌で遊ぶ習性があるため、お腹がいっぱいでも、
ゴキブリを捕まえて1時間以上遊んでいたりするそうです。
でも、これだとゴキブリ退治の方法としては効率が悪いですね。
あとは活動する季節が限られている事が問題となる事があります。
一般に寄生蜂やヤモリは冬は活動しません・・・
ゴキブリの寄生虫やゴキブリを専門に襲う黴を使う方法も研究されています。
これらは、1匹のゴキブリに感染して、ゴキブリの巣に持ち込まれ、
他のゴキブリにも感染して群れ全体を殺す事ができます。
もっとも他の生物に対して、本当に害を与えないのかという事が確かめられていない事と、
生き物であるため、獲物のゴキブリがいなくなると、全滅してしまうために、
効果が長続きしないという欠点があります。
電磁波や超音波を使ったゴキブリ退治器という物も売られていますが、
これらには全く効果がありません。
詐欺で売られている事が現在でもあるようですが、引っかからないようにしましょう。
ゴキブリというのは確かに非常に不愉快で人間にとって、非常に害の大きな虫です。
しかし、それはほんの一部の人家へ侵入したゴキブリだけであり、
ほとんどのゴキブリは人間とは関わりなしに生活を営んでいます。
もっとも最近ではペットとして売られているゴキブリもいますが。
ただ嫌うだけではなく、少しはゴキブリに対する知識を以ってみてもいいのではないかと思って
こんな文章をかいてみました。
しかし、私もゴキブリは嫌いですが・・・