リサイクル

 

 現在は自然状態では腐らないゴミが多量に出ていて、その始末に困り、
リサイクルがもてはやされている。
しかし、このリサイクルというやつは、本当にそれほどいいものだろうか?
今までただ捨てられていた物質を再利用する。
これだけを聞くと大変結構な事のように思われるが、
それにはエネルギーや資金というものが必要である。

 まず、エネルギーについて考えてみよう。
現在はエネルギーの不足も問題となっている。
今まで主に利用されてきた化石燃料が枯渇してきており、
また、化石燃料の使い過ぎにより、化石燃料を使用したときに排出される
有害物質による汚染が問題となっている。
そして、化石燃料に変わって、もっと有害な放射能を排出する原子力が使われだしている。
この原子力というものの危なさは大変なもので、なんでこんなものが使われるのか理解に苦しむ。
とはいえエネルギーが不足しているので現状では使わざるおえないのだろうが・・・
原料となるウランを採掘する鉱山では、労働者が放射能で侵されて病気となるだけではなく、
鉱山近辺の村なども汚染している。
原子力発電所では国は認めていないものの、被爆による病気で死んでいる人が少なくないらしい。
また、大きな事故が起った場合、多量の放射能が辺りにばらまかれ、人間が生活できなくなってしまう。
もっとも、これで済むならば善いほうで、高速増殖炉が爆発した場合、
計算では地球上の人間は全滅するらしい。
ちなみに、1つの原子力発電所で小さな事故なら週に1回ぐらいは起きるそうだ。
高速増殖炉では、過去にフランスで事故が起り、あと5分で爆発する!という状況になったことがある。
もっとも、その時はなんとかなったようだが・・・
更に、原子炉から出るゴミが問題である。
放射能を封じこめるためにコンクリートで固めて捨てているのだが、
このコンクリートの寿命は30年ほどである。
当然、放射能は30年程度では消えはしない。
あとは、漏れっぱなしになるわけである。

 このように現在は非常に大きな代償、リスクを払ってエネルギーを得ているわけである。
そして、リサイクルというものは、普通に品物を生産するのに比べて多量のエネルギーを必要とする。
全く分解して再利用することなどを前提に生産されていない物を、
無理やり分解して作り直すのだからこれは当然である。

 つまり、捨てられている物質をちょっと作り直すために、
多量のエネルギーを浪費する事が問題なのである。
ゴミのほんの一部を作り直す事が大切なのか、エネルギーが大切なのかという事である。

 次に資金について考えてみよう。
リサイクルの施設を作るには当然資金が必要である。
そして、このリサイクルの施設という物は1回作れば、長く使えるものではない。
そもそも、リサイクルの技術というものは現在はそれほど進んでいる訳ではない。
次々と新しいものが産まれている。
また、今まで使い捨てにされていた物も再利用を前提に変わってくる物もある。
つまり、再利用の施設というものをまともに稼働させるには多量の資金を投じて
頻繁に作り直す必要があるという事だ。
さらに、前に述べたようにエネルギーも余計に消費する。
エネルギーについても余計に資金がかかる。
つまり、これだけ無駄に資金を使っているという事である。
この資金を他に回せばもっといろいろな事が出来るだろう。
もっとも、現在日本の経済を活性化させるために資金をばらまいているとでも言うならば
問題はないわけだが・・・

 資源の有効活用を考えるというのは大変結構だが、もっとよく考えて行って欲しいものだ。
そもそも地球を汚すような邪魔な物だからなんとかして再利用するという考えは
根本的に間違っているとしか思えない。
そんなにまずいものならそれ以前に作らなければ済むことだ。


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