森を散策する。
日差しも随分柔らかくなってきた。
そういえば、前、このあたりで……
「ニンゲン、でていけぇ!」
……出た。森精の子供だ。長弓を君の方に向けて構えている。
なぜだか、人間を森の奥へ近づけないようにしているのだ。
「さっさと出ていかないとぉ……」
森精の子供は、その小さな身体に不釣り合いに大きい長弓を引き絞った。
「あぁっっ!!」
……派手な音と、情けなさそうな叫び声。
森精の子供の持つ、長弓の弦が切れたのだ。
子供は、ぺたん、と尻をついて、呆けたように切れた弦を見つめている。
……なんとなく、気まずい間……
森精にとって、弓は命と同じくらい大切にしている物と言うが……
うーむ、こんな時にはどういうリアクションをすればいいのだろうか。( ̄ ̄;)
残念だった、とか声をかけようにも、こちらはそれで命を狙われていた訳だし……
とりあえず君は、座り込んでいる子供に向かって、一歩踏みだそうとした。
ざしゅ!
突然。森精の子供は、一動作で跳ね起きると、その勢いのまま、君の方へ飛びかかってきた。
……いつの間にか、手には山刀が握られている!
ひゅんっ
……かろうじて避ける。瞬発力はあるものの、まだ筋力が伴っていないのであろう、お世辞にもうまい剣さばきとは言えない。
まあ、完全に不意をつかれたので、下手をすればあの世行きだったかも知れないが……(−−;)
森精は、そのままのスピードで、君の背後の茂みへと飛び込んだ。
そのまま逃走するつもりなのだろう。さすがに、森に隠れた森精を追いかける勇気はない。
……なんなんだったんだ、今のは……勝手に襲ってきて、勝手に逃げやがって……
「あたしの名は、グロリアーナ! ニンゲン! この恥、忘れまいぞぅ!!」
森の奥の方から、声だけが響く。
……いや、だから、恥とか言われても、こっちは別に何もしてないんスけど……<(−−;)