2月26日
書きなぐり劇場 伊藤家の食卓
『…というわけで、約束の時刻を2時59分などの半端な時間に指定すると、遅刻を防止することが出来るのです』

テレビから流れているのは『伊藤家の食卓』。
ここ星野家の食卓で、ショートボブの少女―明日香―はそのウラ技に興味を引かれた。
明日香はこの番組には毎週目を通すようにしている。
それで得た知識は、結局大した役にも立たず記憶の底に埋もれてしまうのが常であったが…。
しかしそれでも、報通を自負する明日香としては、このような雑学系のものも見逃せないのだ。

(遅刻を防止…)
その言葉に大きな魅力を感じる明日香。
それには一人の少年が大きく関係する。
バイト先で数年ぶりの再会を果たし、それから幾度となく逢瀬を重ねている。
しかしこのところ、少年の意識の方がダレているのか遅刻をすることが多くなっているのだ。
好意を持っている相手にそうされるのは決して気持ちの良いものではない。
そうして出たしこりはなるべく表には出さないようにしているが、それでも完璧というわけにはいかず、不機嫌な態度を見せてしまうこともある。
好きな人には最高の自分を見てもらいたい――それは当然の乙女心であろう。
そのためにも、彼に遅刻してもらっては困るのだ。
(次の機会に試してみようっと)
そう思った途端、次の機会はやって来た。

彼からの電話。
他愛も無い雑談。
そして、デートの約束。
いつも通り彼は、明日香の都合に合わせて時間を聞いてくる。
早速試してみるチャンスだ!
(11時がいいから…、10時59分だね)
「じゃあ、日曜日の11時だね!」
(…あれっ!?)
しかし口から出てきたのは、いつも通りの切りの良い時間であった…。

明日香は知らない…。
手紙を読んだり、無言電話を聞いたりするのにも1時間単位で時間が進むこの世界で、そんな都合の良い時間設定はできないということを…。





というわけで久々に書いてしまいました。
ネタは今日やってた『伊藤家の食卓』。
なんでも時間従属理論とかいうものを使って、遅刻がなくなるというウラ技でした。
まあ素人考えでも、「3時」より「2時59分」の方が印象に残って、気を付けて行動するようになるとは思いますが。

ちょっと最近、センチをやって思考回路がSS向きになっているので、筆慣らしに書いてみました。
まぁそんなことを言って、これからちゃんとしたのを書くかはわかりませんが。

戻る