昨今、世間を騒がしている「マルチメディア」。
これについて正確に把握している人は、一体どれだけいるのだろうか?
「マルチメディア」、英語で書くと「multi media」。
とりあえず「国語大辞典 源泉(小学館刊)」で意味を調べてみよう。
…マルチメディア、…マルチメディ、…マルチ、……載っていないではないか!
仕方が無い、「マルチ」と「メディア」で分けて調べてみるか。
ふむ、それぞれ次のような意味であるな。
・「マルチ」 :多くの、複数の、あるいは、いくつものものが合わさったなどの意を表す。
・「メディア」 :手段、媒介物。特に、マスコミュニケーションにおける、ラジオ、テレビ
新聞、雑誌などの媒体を言うことが多い。
ということは、「マルチメディア」とは、「複数のものによる、手段や媒介物」となる。
……で? 「複数のものによる、手段や媒介物」って一体何?
う〜む、謎だ……
昨今、世間を騒がしている「マルチメディア」。
これについて正確に把握している人は、一体どれだけいるのだろうか?
「国語大辞典 源泉(小学館刊)」の力を借りて、「マルチメディア」とは「複数のものによる、手段や媒介物」であることが解った。
しかし、「複数のものによる、手段や媒介物」とは一体何なのだろう? これはつまり、「手段」や「媒介物」が「複数」であれば良いということか……、
音楽を聞きたい。聞くには……CDとMD、テープがある。音楽を聞く「手段」が「複数」ある。これは「マルチメディア」!
学校に行きたい。行くには……自転車とバス、自家用車に歩きまである。学校に行く「手段」が「複数」。これも「マルチメディア」!!
授業をサボりたい。サボるには……代返に身代わり、おお! 教授など完全に無視というのもある。サボる「手段」が「複数」。これさえも「マルチメディア」!!!
周りを見まわしてみよう、「電話」に「FAX」がついている。情報を送る「媒介物」が「複数」! 「マルチメディア」か! 「クーラー」に「暖房」がついている……やはり「マルチメディア」!! 「冷蔵庫」には、「冷凍室」が! こ、これさえも……
うお! カレーに和菓子がついてきた! こんなところにまでっ!! ってこれは違うか。
知らないうちに、「マルチメディア」がこれほど浸透していたとは……。
何と言うことだ! どうやら「マルチメディア」は、「世界征服」をたくらんでいるらしい
「マルチメディア」は「世界征服」をたくらんでいた。
そして、それはある組織によって着々と進められていたのである。
あるものは「大学生」、あるものは「フリーアルバイター」、あるものは「ぷー太郎」とそれぞれに身を隠しながら、影で「マルチメディア」による世界征服を画策する組織……それこそが、「マルチメディア研究会Ash」である。
「マルチメディア」の過去を知り、「マルチメディア」の現状を踏まえ、「マルチメディア」の将来を考える。そして、「マルチメディア」の「マルチメディア」による、「マルチメディア」のための世界を合法的に作ることを目指している。
彼らの武器、それは「パソコン」である。ディスプレイから電磁波を放射し、キーボードによって混乱させ、無理矢理ねずみを握らせる。そうして、世の中の40代、50代のサラリーマンの肩に「ぽん」と手を乗せさせるという、「何でもできる」という名のもとに、「何もやらせない」、究極の超兵器。
彼らは、「マルチメディア」のために、それを手足のごとく使役し、操るのである。
そして、何よりも恐ろしいのは、彼らはそれを「真面目なビジネス」として行なっているのである。
今では、彼らの手により、「ぎんかわひでお伝説」のシナリオが作られ、「とある学会のホームページ」が作成されている。
彼らは毎夜、金沢市内某所に集まり、「マルチメディア」のための世界征服を画策しているのである。
耳をすましてみるといい。聞こえてくるだろうあの声が………
「我らのマルチメディアのために!!」
ここは、金沢某所の一室である。
つい先ほどまで、「マルチメディア研究会Ash」のメンバーが、世界征服のためにさまざまな画策を行なっていた。そのメンバーも一通りの行動を終え、つかの間の休息を取っている。
そして、いまこの部屋の中央には一人の男がたっている。部屋は薄暗く、顔を判別することはできないが、どうやら長髪の男らしいことはわかる。
しばらくすると、そこに別の男がたずねてきた。たずねてきた男は部屋の中央にたたずむ人影を見つけ、ぎこちなく挨拶する。
「これはご丁寧にどうも。で、何が望みです?」
「はい、このたび我が社でも『マルチメディア』を導入しようということになりまして……」
「よろしい、わが手の内の『エキスパート』を派遣しましょう。」
「は、ありがとうございます。」
「では、御社とのビジネスを円滑に進めるために、御社には『Ash有限会社』と契約を結んでもらいます。
『マルチメディア研究会Ash』はあくまで任意の非営利団体、ここに何らかの事を依頼するのでは後々の手続きが大変。
これはその手間を省くためのものです。
何の心配の必要もありません。」
「はぁ、ご考慮痛み入ります。」
「なぁに、かまいませんよ。さあ、ここに判を押すのです!」
「はい。あ、ポンッとな。」
「よろしい! では後はこちらにお任せなさい。」
「は、ははぁ〜」
そして、男は帰っていった。心持ちほっとしていたようである。
再び、男は一人になるとつぶやいた。
「『マルチメディア』に『Ash』、そして『エキスパート』たち……
ふっふっふ……、そう、すべては私のおもうがまま……」